リフォームと建て替えはどっちがいい?メリット&デメリットを解説!
どんなにいい家を建てたとしても、家の経年劣化を避けることはできません。
「そろそろリフォームかな?」と考え始めたとき、多くの人が、「大がかりなリフォームをするくらいなら、いっそ建て替えたほうが良いのでは・・・」と迷うのではないでしょうか。
家を建て替えるのかリフォームするのかで迷った際は、それぞれのメリット・デメリットを比較して、プロの意見も取り入れたうえで決めることをおすすめします。
ここでは家の建て替えとリフォームのメリット・デメリット、そしてどちらが良いか迷ったときの解決策までをご紹介します。
1. 建て替えとリフォームの違い
劣化が気になり始めた家の「建て替え」と「リフォーム」では、どのような違いがあるのかを解説します。
① 建て替えとは?
建て替えとは、今ある家を基礎部分から完全に取り壊して更地に戻し、同じ場所に新しく家を建て直すことです。
建て替えを検討するときには、まずその土地で建て替えが可能かどうかをあらかじめ確認する必要があります。
もともと家が建っていたのだから、同じ場所で建て替えるなら問題はないはずと思ってしまいますが、実はそうではありません。
現在の建築基準法では、幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していない土地に建てられた家を取り壊して
更地にしたとしても、新しい家は建ててはならないと定められています。
これがいわゆる「再建築不可物件」です。
接する道路が4メートル以下の場合でも、敷地をセットバック(後退)させることで建て替えられる場合もありますが、
この判断は専門家にしかできません。
家の建て替えを検討するのであれば、まず再建築不可物件に該当しないかどうかを必ず確認するようにしましょう。
② リフォームとは?
一方リフォームは、今ある家を活かしつつ、修繕や改修をして、さらに住みやすい家へと変えることを意味します。
老朽化の激しい水回り設備の交換や、雨漏りが気になる屋根の修繕といった部分リフォームから、
柱や梁(はり)などの構造部分だけを残したスケルトン状態にして丸ごと作り替える、大がかりなフルリフォームまで、
リフォームの内容や規模は多岐に渡ります。
完全に取り壊してしまわない限りは建て替えには当たらないため、建築基準法上の制限を気にする必要はありません。
2. 建て替えとリフォームの特徴を比較してみよう!
それでは建て替えとリフォームの特徴を比較してみましょう。
建て替え | リフォーム | |
---|---|---|
工事の内容 | 基礎部分も含め現在の住宅を完全に取り壊し、新しく家を建てる | 基礎や柱、梁(はり)などの構造部分は残し、他の部分も活かせるものは活かして改修する |
設計(間取り) | 自由に設計できる | 制約がある場合もある |
工期 | 約4か月~6か月 | 約1か月~3か月(リフォームの規模による) |
費用相場 | 約1,000~4,000万円(内容による) | 約300~2,000万円(内容や規模による) |
改修費・建築費以外の諸費用 | 既存住宅の解体費用、撤去費用、建て替え中の仮住まいの費用、引越し費用 | 基本的になし |
住宅ローン | 借入可能 | 金融機関や工事規模によっては借入可能 |
住宅ローン控除 | 適用 | 条件を満たすことで適用 |
3. 建て替えとフルリフォームのメリット・デメリット
建て替えとフルリフォームには、それぞれメリット・デメリットがあるのでご紹介します。
建て替えのメリット
- 自由な設計で家を建てられる
- 既存住宅の間取りや設備の不満をほぼ解消できる
- 地盤に不安がある場合は地盤改良もできる
建て替えのデメリット
- リフォームと比較すると高額になりがち
- 仮住まいが必要
- リフォームと比較して工期が長い
- 再建築不可物件の場合、建て替えができない
- 各種税金がかかる
フルリフォームのメリット
- 建て替えと比べ、費用が安くすむことが多い
- 愛着のある家を一部残すことができる
- 産業廃棄物が少なくてすむ
- 各種税金の軽減措置を受けられる
フルリフォームのデメリット
- 基本構造を残すため、間取りの自由度が下がる
- 構造に欠陥が発見された場合は、補修や補強費用が高くつく
- 地盤の補強はできない可能性が高い
- 仮住まいが必要
建て替えかフルリフォームのどちらが適しているのかは、上記のようなメリット・デメリットを参考にして決めることになります。
では、どのようなことを判断の基準にすれば良いのでしょうか。
4. 建て替えとリフォームの判断基準とは?
部分的なリフォームであれば費用もさほどかからないため迷うことはありませんが、大がかりなフルリフォームとなると建て替えと迷う方も多くなります。
まず、基本的にフルリフォームは基礎や構造部分を活かすことが前提です。
雨漏りといった住宅トラブル、または、経年劣化などにより、構造部分に補強では解消できないほどの問題がある場合には、基本的には建て替えを選択することになるでしょう。
あるいは地盤に不安がある場合にも、建て替えをするしかありません。
一方、基礎や構造部分がまだまだ活かせる住宅であれば、総体的な費用が安くすむケースの多い、フルリフォームもおすすめできます。
とくに、ご自身が高齢で住宅ローンの借り入れ額に上限がある、老後に備えている手持ち資金を大きく目減りさせたくないといった場合には、フルリフォームを選択したほうが良いかもしれません。
このように建て替えとフルリフォームのどちらにするかは、現在の家の状況や今後のライフプラン、自己資金などに左右されます。
5. 建て替えとリフォームで迷ったときの解決策
建て替えとリフォームで迷ったときの解決策を紹介します。
① 信頼できる業者(プロ)に相談
建て替えかリフォームかで迷ったときには、信頼できる建築業者などの第三者に相談するのがおすすめです。
まず、建て替えを視野に入れるのであれば、そもそも家が建てられている土地が、
建て替えが可能な土地なのかの見極めが必要で、それは専門知識を持ったプロの目に頼る以外にありません。
建築基準法をクリアできない再建築不可物件に該当していないか、
用途地域が変更されて建ぺい率が変わったりしていないかなどをきちんと確認しておかないと、
最悪取り壊したものの新たに家を建てられない可能性さえあります。
またリフォームについても、構造部分や地盤に問題がないのかをしっかり調べておかないと、
スケルトンにした段階で重大な欠陥が判明して建て直すのと同じくらいの費用が発生した、という悲しい結果になりかねません。
建て替えかリフォームかの最終的な決断は自分ですることになりますが、
判断するのに必要な情報は建築業者に提供してもらい、プロの意見を聞いてから決めるのが良いでしょう。
② 良心的な建築業者の見極め方
それでは建て替えかリフォームかを相談できる、良心的な建築業者はどのように探せば良いのでしょうか。
ホームページ
最近は多くの建築業者がホームページを公開しているため、まずはホームページから情報収集してみましょう。
ホームページがあっても、ほとんど更新されていないようなページもなかにはあります。
基本情報は確認できるけれども、施工事例が数年前から更新されていなければ、その建築業者はちゃんと仕事を請けているのか、なにか事情があって施工事例を載せられないのか、不安になってしまいませんか?
反対に施工事例が豊富に掲載され、お客様の声も小まめに更新されていれば、その建築業者は多くの実績があるのはもちろん、お客様との関係が良好なことも伺えます。
またホームページでは、保証内容が詳細に説明されているかどうかも確認しましょう。建て替えもフルリフォームも、高額な費用がかかります。
もし施工後に不具合が発見されたときに、保証がなければ多額なローンを抱えたまま泣き寝入りしなければなりません。
その事業者は住宅瑕疵担保保険に登録しているか、また地盤工事もする場合には地盤保証の保険に加入できるのかなど、補償面についてもきちんと案内しているかは重視するようにしてください。
ほかにもどのようなアフターサービスを行っているのかなどをチェックして、できるだけ長期間「安心を担保」してくれる建築業者を探すようにしましょう。
建築業の許可
リフォームについては、請負金額が500万円以下の小規模な工事であれば建築業の許可がない業者でも施工が可能です。
そのため小規模リフォームを専門に行っている業者も数多くあります。
残念ながら、この点が手抜きリフォームをおこなう悪徳業者のトラブルが後を絶たない要因の一つであることは確かです。
実は建築業の許可を取るには適切な施工をおこない、一定以上の技術や能力を持つ専任技術者を置く必要があります。
つまり建築業の許可がある業者は、一定の技術が担保されている表れであり、
許可がない業者についてはどの程度の技術があるのかを測ることができません。
建築に関する知識や技術があることを確認するためにも、業者が建築業の許可を取っているかどうかは必ず確認するようにしてください。
ホームページを持っているような業者であれば、会社案内などに記載されていることが多いため、チェックすると良いでしょう。
6. ポータルサイトや大手は『割高』なの?
リフォーム工事や住宅メーカーなどの施工会社について、料金やサービスを比較検討できるポータルサイトが増えています。会社概要、施工実績やリフォーム料金、坪単価などを一括で見比べられるため、とても便利なシステムです。
しかしそのようなサイトでは、一般的に、サイトを通したお客様との契約が成立すると、施工会社は総工費の5~6%を成功報酬としてポータルサイトに支払わなければなりません。
その手数料は、何らかの形で施工代金に上乗せされ、施工主(お客様)が払うことになると考えるのが妥当です。そのため割高になってしまうのです。
同様に、大手住宅メーカーの施工費が高い理由も、実際の施工は下請けや孫請けの工務店などがおこなうことがほとんどであるため、中間マージン(仲介手数料)が発生して割高になるという仕組みになっています。
大手メーカーの「中間マージン」を、大手ならではの手数料として捉えるのかどうかは、お客様次第かもしれません。
ただ、ポータルサイトついては、仕組みを理解して、情報を集める手段の一つとして考え、賢く利用するのがおすすめです。
7. まとめ
建て替えとリフォームは、それぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。そもそも建て替えができない場合もあるため、建築業者などのプロの目で見てもらったうえで決めることが大切です。
ぜひ、施工事例や保証内容をしっかり吟味したうえで、信頼できる建築業者を見つけ、理想の家づくりを実現し、笑顔あふれる暮らしを手に入れてくださいね。
記事監修/大久保明彦(おおくぼあきひこ)
- 株式会社レジェンドホーム 代表取締役
- 宅地建物取引士
住まいで成功するには、注文住宅と不動産の2つの事業を柱にすることが必須と考え、建築と不動産の両方を強みとする事業を作り上げた。
「真実一路、全てはお客様の笑顔のために」をモットーに、創業以来、地域に密着した住まいづくりをしている。