内装リフォームの種類と費用・価格の相場について
新築のときには目にもまぶしいほど白かった壁紙が、気がついたら日焼けしてクリーム色になっている。よく見たらフローリングも傷だらけ・・・というのはよくあることです。ていねいなメンテナンスをすることで劣化を遅らせることはできますが、それでも劣化を防ぐことはできません。
劣化が気になりだしたら、そろそろ内装リフォームを検討するサイン。
ここでは、内装リフォームのなかでもお問い合わせの多い、壁紙(クロス)や床の張り替えについて、どれくらいの費用や時間が必要なのかを紹介します。かかるコストや日数を知り、計画的なリフォームをしてくださいね。
Contents
1. 内装リフォームの種類
「内装」とは、建物内部の装飾や設備、壁面の仕上げ、天井、床などのことです。内装リフォームはそれらの修繕や改善のことをいい、その工事は、水回り設備の交換、和室から洋室へのリフォーム、間取り変更など、小規模な工事から大規模な工事まで多岐にわたります。
そして、内装リフォームの中でも、よくお問い合わせをいただくのが、フローリングの張り替えと壁紙(クロス)の張り替えについてです。では、詳しくご説明していきましょう。
2. 築年数と内装リフォーム時期の目安とは?
家を建ててから何年もたつと、徐々に経年劣化が進んでくるのは外装も内装も同じです。家の劣化がどれくらい進むのかは、日ごろのメンテナンスによって大きく異なります。
ここでは、一般的なリフォーム時期の目安を紹介します。
① 築5~10年
畳や壁、天井などのちょっとした傷や汚れが目立つようになってくる時期です。とくに畳は、部屋の使用頻度や日の当たり具合によって、劣化具合に大きく差が出ます。畳の色が黄色や褐色になり、触れると服にい草の粉がつくようなら、畳表を裏返しにしてもらうといいでしょう。
壁や床のリフォームの時期は、様子を見つつこまめにメンテナンスをすることで、遅らせることが可能です。凹凸のあるクロスを使用している場合には、ホコリを吸着して湿気によるカビを呼びやすいため、こまめにブラシをつけた掃除機などで掃除をするのがおすすめです。
② 築10~15年
築後10年が過ぎると、トイレやキッチン、浴室、洗面台などの水回りに不具合が出始めます。水回りは使用頻度が高いうえ、どうしても湿度が高くなるので、劣化が早く進んでしまうためです。壁や床などにタイルを使用している場合には、目地が目減りしたり黒ずんでしまったり、ヒビや欠けが発生していることもあるでしょう。
壁にクロスを使用している場合は、経年による変色が目立ってくるころです。クロスの継ぎ目が開いている、剥がれてきているなどのトラブルが発生していてもおかしくありません。
この時期は、このような目に見える部分の表層リフォームを中心におこなうのがおすすめです。気になる部分を早めにリフォームすることは、深刻なダメージを防ぐことにも繋がります。
③ 築15~25年
築20年前後になると、目に見えない部分の劣化が徐々に進行してきます。水回りについても、設備や配管全体を取り換えるなど、大規模なリフォームを考える時期です。
普段目にすることがない床下や基礎部分も、気がつかないだけで経年劣化は進んでいます。深刻な状態になる前に、一度専門家に家全体の劣化状況を見てもらい、大規模修繕を検討するようにしてください。
3. 内装リフォームの費用・価格の相場とは?
内装リフォームのうち、クロスやフローリングの張り替えにはどれくらいの費用が発生するのでしょうか。それぞれの価格相場を紹介します。
① クロスの張り替え
壁や天井のクロスを張り替える費用は、1㎡あたりの単価をもとに算出します。単価にはクロスの費用と施工代が含まれているため、基本的にはクロスの種類やグレードによって料金が違ってきます。
スタンダードなビニールクロスであれば、1,000円~1,500円/㎡で張り替えが可能です。一般的な6畳の部屋であれば、壁が約30㎡、天井が約10㎡なので、約4万円~6万円程度を見積もっておくとよいでしょう。
撥水加工された汚れを落としやすい機能性クロスや、インテリア性の高い不織布の布クロスなどに張り替えるときには、2,000円~2,500円/㎡は必要です。同じ6畳間で計算すると、約8万~10万円ほどかかります。
実際に施工する際には、このほかに床や壁を保護するためにビニールなどを張る養生費や、リフォーム前の壁紙を処分する費用、家具の移動も業者に任せる場合には荷物移動費などが、6畳まで2万円前後必要です。
② フローリングの張り替え
フローリングの張り替えにかかる費用も、フローリング材と工事費をあわせて見積もるのが一般的です。
フローリングには、薄い板を何枚か張り合わせた上に天然木の薄い板を張り付けた「合板(複合)フローリング」と、天然木を使用した「無垢フローリング」があります。無垢材のほうが合板よりも高価で、同じ無垢材でも木の種類や木目などによって価格が異なります。
張り替え費用は、合板と無垢材のどちらを使用するかによって変わりますが、一般的に1畳で3万~6万円、6畳で9万~18万円、8畳で10万~20万円を見積もっておくとよいでしょう。
張り替え工事の際に、床下の劣化が進んでいることが分かり、下地からやり直さなければならない場合には、さらに3万~5万円ほどかかります。
そのほかに、もともと張られていたフローリングの処分費などが必要な場合もあるため、見積もりをもらうときには記載されている以外に費用が発生しないかを、必ず確認するようにしてください。
4. 内装リフォームの工事の流れと施工日数の目安
続いて、クロスとフローリングを張り替える工事はどのように進み、何日ぐらいかかるのか、その目安を紹介します。
① クロスの張り替え
クロスの張り替え工事は、以下のように進みます。
- 照明器具を取り外し、家具の移動をして、ビニールで養生する
- 古いクロスを剥がす
- 下地に傷みがあれば補修する
- 新しいクロスを張る
- 仕上がり確認後、養生を外して完了
張り替えにかかる日数については、6畳程度の1部屋なら1日~1日半で終わりますが、下地が想定以上に傷んでいて補修に時間が必要な場合には、2日以上かかることもあります。
家全体のクロスを張り替えるなら、一般的な3LDKの間取りで1週間~10日かかるでしょう。日数については職人が何人入るかによっても変わるため、見積もりのときに確認するようにしてください。
② フローリングの張り替え
フローリングの張り替え工事は、以下のような流れになります。
- 家具などを移動して、ビニールで養生する
- 古い床材を剥がす
- 下地材を取り付ける
- 新しいフローリングを張る
- 巾木(はばき=壁が床に接する部分に取り付ける部材)を取り付ける
- 養生を外し、後片付けと掃除をして完了
フローリングの張り替えにかかる日数は、部屋の広さによって異なりますが、6畳の部屋で2~3日はみておく必要があります。下地に傷みがある場合には、さらに日数がかかるでしょう。
フローリングの張り替えにかかる時間は、部屋の形状によっても違いがあります。四角い部屋なら問題ありませんが、壁が斜めになっている、あるいは凹凸が多いような部屋だと、その形状にあわせてフローリング材を加工する必要があります。
家全体のフローリングを張り替える場合には、その都度家具などを移動していかなければならず、荷物の量や重さによっても必要日数が大きく左右されます。
一般的な目安として、3LDKの家で2週間前後は見込んでおくようにしてください。
5. 部分的な内装リフォームのよくある失敗
内装リフォームをするときには、壁紙の汚れだけが気になる、床の色あせだけが気になるなど、気になる部分だけを直せばいいと考えがちです。ところがこのような部分リフォームは、工事が終わってから後悔する人がとても多いのです。
部分的な内装リフォームには、どのような問題があるのでしょうか?
① リフォームしなかった場所の劣化が目立つ
壁だけ、フローリングだけなど部分的にリフォームしたときには、リフォームした部分が新しくなった分、そのまま残した場所の劣化がより目立ってしまいます。
たとえば、床はまだ気にならないけど、壁紙が色あせてきたからと張り替えた場合、リフォーム工事後、それまで気にならなかったのに急に床の色あせや傷が気になりだしてしまうものです。工事が終わったあとに「やっぱり気になるから」と再度工事をすることになると、割高になることがほとんどです。とくに壁のクロスを張り替えたあとに、「やっぱり床も・・・」となった場合、再度巾木を外すときに壁を傷めてしまう可能性も。
リフォームを検討するときには、あわせてリフォームする箇所はないかも含め、見積もりを取ったうえで予算と相談するようにしてください。
② フローリングの質感が気に入らない
フローリングは、大きく分けて「合板(複合)フローリング」と「無垢フローリング」の2種類があります。
さらに合板(複合)フローリングは、天然木を表面に張ったもの、木目柄の樹脂や紙などのシートを張ったものなど種類が豊富なことが特徴です。一方無垢のフローリング材も、パイン材やスギ、ヒノキなど、木の種類ごとにそれぞれ堅さや色味などが異なります。
フローリングは床一面に張るものであるため、敷き詰めた印象で部屋の雰囲気が大きく変わります。また硬さや質感、音の響きなども、実際に工事が終わってから「思っていたのと違う・・・」と感じることが少なくありません。
フローリング材を決めるときには、壁紙の雰囲気、部屋のインテリアなどと色味を合わせる以外にも、実際に質感を確かめられるよう、必ずサンプルをもらって選ぶようにしましょう。
③ 壁紙(クロス)のイメージが違う
壁紙(クロス)も床と同じく、家の中で広い面積を占めるため、部屋の印象を大きく左右します。サンプルを見て選んだつもりでも、実際に壁一面に張ってみるとイメージが違うということはよくあること。とくに柄物のクロスに張り替えた場合、いざ広い壁で見ると想像と全然違うと感じることが多いようです。
壁紙はカタログでおおよその色や柄は確認できますが、部屋全体に施工した完成イメージまでは、さすがに分かりません。壁紙サンプルは、依頼すればA4サイズ程度の少し大きなサンプルを取り寄せることもできます。できるだけ大きなサンプルを、実際に壁にあててみてから決めるようにしましょう。
6. 内装リフォーム会社の見つけ方と費用を抑えるコツ
内装リフォームを依頼する会社をどのように見つければいいのかを、費用を抑えるコツとあわせて紹介します。
① クチコミや施工実績を確認
今やほとんどの会社がホームページを開設している時代です。まずはインターネットで検索し、ホームページの内容を確認してみましょう。ホームページでは、まず施工実績を確認するようにしてください。施工実績が定期的に更新されていて、お客様の声もあわせて掲載されているようなら安心です。
お客様の声やクチコミサイトを見るときには、担当者の人柄について、どのように書かれているかをチェックしてみてください。プロである以上、仕事をていねいに仕上げることは当然です。
しかし、担当者や職人の人柄が悪ければ、仕事がていねいだからといって良い印象は残りません。
住まいを丸ごと内装リフォームする場合には、長ければ数週間もの期間、担当者や職人が家に出入りすることになります。「この人に任せて良かったです」とクチコミに書かれている会社なら、安心して依頼してよいでしょう。
② 紹介サイトや比較サイトは手数料が発生
最近は複数のリフォーム会社の料金を比較して検討できる、紹介サイトや比較サイトがたくさんあります。家の郵便番号から大まかな地域を特定し、種別やリフォームしたい箇所、築年数など、入力したデータをもとに複数の見積もりが同時に取れるため、とても便利なシステムです。
しかしそのようなサービスは、リフォーム会社がサイト側に「成功報酬型」の手数料を支払うことで成り立っています。そしてその手数料は、なんらかの形で見積もりに上乗せされていると考えるのが妥当です。
リフォーム費用を抑えたいのであれば、地元で営業している施工会社に直接依頼するのがおすすめです。地元の施工会社は地元でのクチコミをなによりも大切にしているため、工事終了後に万が一トラブルがあったときのアフターケアも期待できるでしょう。
7. まとめ
家はこまめにメンテナンスをすることで、劣化を遅らせることが可能です。しかし遅らせることはできますが、経年劣化を完全に防ぐことはできません。劣化を感じ始めた時点で早めにリフォームをするほうが、結果的にメンテナンスコストが抑えられるケースもよくあります。
家の中でも壁と床は占める面積が広いため、リフォームすると新築のようによみがえります。しかしどちらか一方だけを新しくした場合は、リフォームしなかった部分の劣化が余計に目立ってしまうので、できる限り同時にリフォームするほうがよいでしょう。
コストを抑えた内装リフォームを検討するときには、地元の施工会社に直接相談するのがおすすめですよ。
記事監修/大久保明彦(おおくぼあきひこ)
- 株式会社レジェンドホーム 代表取締役
- 宅地建物取引士
住まいで成功するには、注文住宅と不動産の2つの事業を柱にすることが必須と考え、建築と不動産の両方を強みとする事業を作り上げた。
「真実一路、全てはお客様の笑顔のために」をモットーに、創業以来、地域に密着した住まいづくりをしている。