中古の戸建て物件をリノベーションして暮らす!

リノベーション

最近リフォームと並んで「リノベーション」という言葉をよく聞くようになりました。
中古の戸建てに新たに息を吹き込むリノベーションは、住宅戸建ての新しい購入方法として今注目を浴びています。
中古の戸建てをリノベーションすることには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

この記事では、中古の戸建てをリノベーションして暮らす選択をする人が増えてきた理由や、
リノベーションに失敗しない方法などを紹介します。

1. リノベーションの意味

リノベーションの意味

リノベーションと似た言葉にリフォームがありますが、リノベーションとはどういった意味なのか、またリフォームとはどのような違いがあるのか説明します。

① リノベーションとは?

近年リフォームと並びよく耳にするようになったのがリノベーションです。
不動産の物件広告を見ても、「リノベーション済み」という言葉がよく目につくようになりました。
リノベーションはどのような意味で、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。

日本は長く「新築編重」の時代が続いていましたが、オイルショックを機に住宅リフォームを専門とする会社が誕生します。
そして1995年頃にバブル経済が崩壊すると、住宅メーカーもリフォーム業に参入するようになりました。

それまでの古くなった住宅を「現状回復」するリフォームではなく、
「新しい付加価値を創造する」リノベーションが注目されるようになったのはその頃といわれています。

古くなった住宅が、個性的なセンスと価値観を持ってリノベーションされることで生まれ変わり、
市場で高い価値を持つようになったのです。
自分らしい住まいを実現する手段のひとつとして、中古戸建てのリノベーションは現在多くの人の支持を受けるようになっています。

② リフォームとリノベーションに明確な境界線はない

リフォームが「修繕・機能回復」であるのに対し、
リノベーションは「プラスαの新しい価値を創出する」ことであるといわれていますが、実は明確な境界線はありません。
もともと英語ではどちらもリノベーションが使われており、リフォームは和製英語とされています。

一般的には住宅の劣化した部分のみを修繕してもとの状態に戻すことをリフォームといい、
建物の構造のみを残してすべてを新しく作り直し、
プラスαの価値あるものへと変貌させることをリノベーションということが多いようです。

2. 中古物件リノベーションを選択する人が増えた理由

中古物件リノベーション

近年ますます注目を浴びているリノベーションですが、中古の戸建てを購入してリノベーションすることを選択する人が増えてきたのにはどのような理由があるのでしょうか。

① 好立地の物件が豊富

戸建ての購入を考えたとき、どんな家にするか以上に悩むのが土地選びです。
とくに駅から近い場所や人気の住宅地などはすでに戸建てやマンションが建ち並んでいる場合が多く、
なかなか100%気に入る土地というのは見つけられません。
広さや形状など、妥協点を決めておいたとしても「コレ!」といった土地が見つからない場合もあるでしょう。

そういったときにリノベーションを視野に入れると、中古物件も選択肢に入ってきます。
とくに成熟した住宅エリアでは中古の戸建てが豊富な場合が多く、好立地のエリアで物件が見つかる可能性もあります。

住みたい場所に理想の土地が見つからず、あきらめて別の土地を選ぶ前に、中古住宅リノベーションを検討してみるとよいでしょう。

② 新築の家と比べて費用を抑えられる

中古の戸建てをリノベーションする場合、一般的には家を新築するよりも費用を抑えられることもメリットです。

リノベーションであれば、構造に大きな傷みや耐震上の問題がなければ、
新築時に必要となる土地の整地や基礎工事などに関する費用が不要になります。
そのぶん工期も短縮されるため、トータルコストは下がるでしょう。

さらに上下水道などの敷設工事にかかる費用も、リノベーションを前提に中古住宅を購入すれば不要です。
ほかにも不動産所得税や固定資産税など、各種税金が軽減されるなど、中古住宅のリノベーションは住宅を新築するのに比較すると、
費用を抑えられることは大きなメリットといえるでしょう。

③ 設計の自由度が高い

ゼロから家を自由設計で新築する注文住宅にはかないませんが、
建売住宅などと比較するとリノベーションは設計の自由度が高いこともポイントです。

最近はある程度間取りを選べる売建住宅(施工する住宅メーカーが決められている土地)も人気ですが、
完全な自由設計ではなく、あらかじめ用意されたプランから選ぶタイプが主流です。

その点、中古戸建てのリノベーションであれば、内装をすべて取り払って、
基礎と構造のみ残すスケルトンにしてしまえるため、間取りをある程度自由に設計できます。
もちろんメインの構造部分については取り外すことはできないため、注文住宅のように完全に自由設計とはいきませんが、
建売住宅や売建住宅と比較すれば自由度は高いといえるでしょう。

3. 戸建てリノベーション|デメリットもゼロではない

戸建てリノベーション

新築で家を建てるよりも手頃な費用で、間取りも自由に再設計できる戸建てリノベーションですが、デメリットがないわけではありません。

ここからは戸建てリノベーションのデメリットを2つ紹介します。

① 築年数がたった住宅の「耐久性」

中古の戸建てを購入する場合、もっとも気になるのは耐久性ではないでしょうか。
中古である以上建築されてからある程度の年数が経っているため、経年劣化は避けられません。

しかし「築年数が経っているから建築物としてキケン」と判断するのは早計です。
日本では住宅の寿命は築30年が目安といわれているのは事実ですが、
それは日本では「家は新築がよい」という新築信仰が根深いことに由来します。

新築が好まれる日本では、最近まで中古市場は軽視されてきました。
そのため「まだ住める家」でも壊されてしまっていたのです。

本来しっかりとした職人が建て、
きちんと管理されていた家であればリフォームをすれば50年でも60年でも安全、快適に住み続けることは可能です。
日本の住宅建築技術の確かさは、古い木造建築が、日本各地に今でも残っていることからも分かるでしょう。

とはいうものの、メンテナンスの状態が悪かったなど、劣化が激しくリノベーションに向かない住宅があることは確かです。
そのためリノベーションを前提に中古戸建てを購入するときには、、ホームインスペクション(住宅検査)を受けたうえで、
きちんと管理されてきた家を選ぶことが重要です。

② 新築に比べてローン金利が高い

現在住んでいる住宅をリノベーションするときには、新築戸建てと同じような住宅ローンを組むことはできません。
住宅ローンは「住宅購入資金」のためのローンであり、既存住宅のリフォームやリノベーションは対象外になるためです。

既存の住宅をリノベーションする場合にはリフォームローンを利用することになりますが、
住宅ローンよりも返済期間が短く、金利が高いことはデメリットといえます。
ただし既存住宅のリノベーション工事のみをする場合でも、工事規模などの条件によっては、
一般の住宅ローンが利用可能な金融機関もあります。

希望する場合には調べてみるとよいでしょう。

一方中古物件を新規に購入してリノベーションする場合には、購入費と工事にかかる諸費用をまとめて住宅ローンで借りられます。
住宅ローンは、リフォームローンと比較すると金利が低く、返済期間も長いことが特徴です。

場合によっては中古戸建てを先に購入し、数年後にリノベーションをしようと考える人もいるでしょう。
その場合、再度抵当権の設定をしなおすなど、面倒な手続きが発生します。
さらに住宅ローンに加えてリノベーションにかかる費用の返済能力があるかも再度審査されるため、
場合によっては希望する金額が借り入れできない心配があるのもデメリットです。

そういったことを考えると、中古戸建てをリノベーションするのであれば、
購入と同時にリノベーションまで一気にすませることがおすすめです。

4. 戸建てリノベーションの費用相場とは?

戸建てリノベーションの費用相場

リノベーションとひと言でいっても、さまざまなパターンがあります。

戸建ての外壁などは触らず、目に見える内装部分だけをすべて取り払う表層リノベーションから、床や壁、天井などをすべて取り払って骨組みだけを残すスケルトンリノベーションまであり、どの程度まで手を入れるのかによって費用は大きく異なります。

また当然ながら建築面積や延べ床面積によっても費用が異なるため、
まずはどの程度のリノベーションが必要なのか、見極める必要があるでしょう。

相場の目安として100㎡で考えた場合、表層リノベーションで1,300万円程度、
スケルトンリノベーションで2,800万円程度といわれています。

中古戸建ての状況によって、スケルトンにまでする必要がない場合もあるため、
物件を購入する前にインスペクションで構造部分の劣化を確認することが重要です。

5. 戸建てリノベーションに多い後悔・失敗例

戸建てリノベーションの後悔・失敗

戸建てリノベーションをしてどのようなことで後悔しているのか、失敗例を紹介します。
同じような失敗をしないために、参考にしてください。

① 築年数を優先してしまった

リノベーションの失敗原因でもっとも多く挙げられるのは、中古物件選び。
なかでもよくあるのが、「築浅だから大丈夫と思った」という失敗です。

築年数が浅ければ状態がいいと思ってしまうものですが、中古物件を選ぶときには年数だけで判断することはやめましょう。
建物はどれだけしっかり管理されていたかによって、同じ築年数でも状態は大きく異なります。

メンテナンスをしなかった築10年の戸建てよりも、
大切にメンテナンスされてきた築20年の物件のほうが状態がよいというのは珍しいことではありません。

戸建てを選ぶときには、築年数に惑わされることなく、専門家に状態を確認してもらったうえで購入するようにしましょう。

② 予算・資金計画が破綻した

リノベーションで理想の家を実現しようと、あれこれプランを詰め込んで、ギリギリの予算を立ててしまうのもよくある失敗です。

なんとか予算内に収まったと思っていたら、
解体後に想定以上の老朽化が判明して資金計画がくずれてしまった!という話はよくあります。

リノベーションは、配管や基礎の劣化具合については、ある程度の予測はできても実際どうかは解体をすすめなければ分かりません。
予算をオーバーしてしまった場合、その後の返済計画や教育資金、老後資金などにも影響を及ぼす可能性もあります。

予算と資金計画は、十分な余裕を持たせたものを考えるようにしてください。

③ リノベーションの業者選びに失敗した

リノベーションの業者選びも重要なポイントです。

よくあるのが物件の購入、打ち合わせまではスムーズに進んでいたのに、
実際にリノベーション工事に入ったとたん意思の疎通が取れなくなったという話。

これはとくに大手の住宅メーカーなどに依頼したときに起こりがちです。
それは大手の住宅会社は、工事自体は下請けに出していることが多く、現場との連携が取れていない場合があるためです。

そのため現場で気になることがあって質問しても、要領の得ない答えが返ってくるなどして不満がたまってしまいます。
リノベーション業者を選ぶときには、物件の購入からリノベーション工事、アフターメンテナンスまで、
一貫して面倒を見てくれるところを選ぶようにしましょう。

④ リノベーションが難しい物件を買ってしまった

そろそろ住宅を購入しようかなと物件を探していたら、気に入ったエリアに中古の戸建てが見つかって、
「誰かに買われてしまう前に!」と、業者にリノベーションの相談もせずに急いで購入してしまう人がいます。
しかしいざ改修を計画したら、リノベーションには適していない物件だったということも。

たとえばツーバイフォーの物件などは、柱や梁(はり)で家を支えていないため、
壁を抜くなどの大がかりなリノベーションはできません。
また思っていたより構造が劣化していて、リノベーションに耐えられないこともあり得ます。

リノベーションを考えるのであれば、
最初から物件の購入とリノベーションを同時に行うことを前提として相談し、適した物件を購入することが重要です。

⑤ プランニングに失敗した

「天然木のフローリングで壁は白」「キッチンはオープンキッチン」など、
デザイン部分に対する希望は明確に持っている人がほとんどです。
しかしコンセントの数や位置、照明の数などの設備や機能などの細かい部分については、
具体的なイメージのないまま「とりあえず」で工事をしてしまう人が多く、失敗の原因となります。

コンセントなどはあとからでもなんとかなると思いがちですが、電気工事はあとから追加すると、
壁の中に埋め込めず配線を露出させるしかないなど、望んだ結果にならないことも。
細かな部分は設計士などプロの意見も聞きながら、実際にその間取りで暮らしたときの動線、
使う家電の種類まで具体的にイメージして決めることが大切です。

6. リノベーションで成功するために

リノベーションでの成功ポイント

それではリノベーションに成功するにはどのようなことに気をつければよいのか、ポイントを3つ紹介します。

① 信頼できる不動産会社を選ぶ

リノベーションを成功させるもっとも大切なポイントは、信頼できる不動産会社を選ぶことです。
とくに住宅の購入と、リノベーションのどちらにも詳しく、工事までを一貫して任せられる会社を選ぶことが重要です。
住宅を購入する不動産会社とリノベーションを行う会社を分けてしまうと、一貫した資金計画が立てにくくなることからも、
会社を分けることはできる限り避けましょう。

また地元に詳しい不動産会社を選ぶことも大切です。
特定のエリアにこだわってさがしている場合でも、地元に詳しい不動産会社であれば、
別の視点から穴場の地域を提案してもらえる可能性もあるでしょう。

② ホームインスペクションを活用する

中古の戸建てを購入するときのホームインペクションは、必須といっても過言ではありません。
ホームインスペクションでは、一級建築士などの資格を持つ住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、
専門的な視点から住宅の劣化状況や改修箇所を見極めてくれます。

劣化の範囲を確認しないことには、どの程度のリノベーションが必要なのか、
またどの程度の広範囲のリノベーションに耐えるのかを判断できません。

そうなるとリノベーションの予算を立てることもできなくなってしまいます。

不良物件を購入しないためにも、
そしてリノベーションに成功するためにも、ホームインスペクションは必ず活用するようにしましょう。

③ 全体の予算を把握する

中古の戸建てを購入してリノベーションする場合には、戸建ての購入とリノベーションまでを一括して予算管理することが重要です。
全体予算を把握しないまま進めてしまうと、気に入ったエリアにある中古住宅を購入したのはいいものの、
リノベーションにかける予算が不足して、部分リフォームしかできなかった!ということにもなりかねません。

リノベーションを前提に中古の戸建てを探す場合には、物件の購入とリノベーションを分けて考えないことが何よりも大切です。

7. まとめ

不動産会社選びが重要

新築信仰の高かった日本でも、中古戸建てのリノベーションを選択する人が増えてきました。

中古戸建てをリノベーションして住むことには、希望しているエリアでの住宅の選択肢が増える、新築よりも安価ですむなどさまざまなメリットがあります。

しかしリノベーションにデメリットがまったくないわけではありません。
とくに物件選びに失敗すると、新築するよりも高いコストが必要になることも考えられます。
そのためリノベーションを前提に中古の戸建てを購入するときには、よい物件を見極められる不動産会社選びが重要です。
中古戸建ての購入からリノベーションまで一括して最後まで面倒を見てくれる、信頼できる不動産会社を探すようにしてください。

大久保明彦

記事監修/大久保明彦(おおくぼあきひこ)

  • 株式会社レジェンドホーム 代表取締役
  • 宅地建物取引士

住まいで成功するには、注文住宅と不動産の2つの事業を柱にすることが必須と考え、建築と不動産の両方を強みとする事業を作り上げた。
「真実一路、全てはお客様の笑顔のために」をモットーに、創業以来、地域に密着した住まいづくりをしている。